三浦春馬さんとうつ病の関係~横浜心療内科コラム

三浦春馬さんとうつ病の関係~横浜心療内科コラム

先日、俳優の三浦春馬さんが亡くなられました。

それにたいして、様々な記事やコメントが発表されています。
状況については詳しくわかりませんし、詳細な情報は、親しい方やご家族しかご存じないと思います。

そのため今回は、自分が読めた範囲の記事やコメントの内容から、分かることを書かせていただきます。

まず、三浦さんを知る周りの人たちのコメントには

「悩んでいるようには見えなかった」
「いつも明るくて、自殺するそぶりなどなかった」

という内容が多くありました。
うつ病の方が、直前まで悩みやつらい気持ちを周囲に打ち明けられず、そのままどうしようもなくなって自殺されてしまう…というパターンは多いのですが、三浦さんもまた、周囲には苦しんでいる姿を見せられず抱えこんでしまった可能性があるのではないでしょうか。
特に「明確なトラブルや悩み」が周囲から見てハッキリしていないのでしたら、純粋に気持ちが抑うつ的になっていた可能性もあります。

また、当院もふくめて、うつ病になってメンタルクリニックに掛かる患者さんは、女性の方が男性よりも多いものです。
しかしこれは、男性の方がメンタル的に強く、うつになる確率が低いという意味ではありません。

うつ病の男女の発症率は同じくらいなのですが、そのときの行動が、男女で異なるのです。

例えば女性は、つらくなった時は、すぐに周囲に相談したり、メンタルクリニックに行ったりすることが多いので、小さく発散をしやすいものです。

しかし男性は「人に弱みを見せるのは恥ずかしい」と考え、一人で抱えこんでしまうことが多いのです。
そのためどうしようもなくなり、自殺してしまう…ということが多くなります。実際、自殺率は男性の方が高くなっています。

また、青年~壮年期を対象とした調査により
「日常的に飲酒している男性は、飲酒していない男性より自殺率が高い」
ということが分かっています。

過去の記事やコメントを拝見したところ
三浦さんも普段からよくお酒を飲まれていたようなので、これも要因の一つかもしれません。

周りの人に相談できず、うつ病が進んだ結果、自殺を選んでしまった…。
そんな風に推察することもできます。

非常に悲しい出来事です。

皆さんの周りでも、ご家族や友人などでお酒をよく飲み、あまり周囲とコミュニケーションを取らない方がいたら、この可能性がありえる、と一度でいいので考えてみてください。

そしてもし、わずかでも気になったら、
「最近どう?」
と一言でも声かけをしてみていただけますと、何か変わるかもしれません。

最後になりますが
三浦春馬さんのご冥福をお祈りしております。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。